造り手さんに会いにいってきました!2018年熊本 後編

敬農吉さんの亀の尾 @ 人吉,熊本



続きまして、2日目。

県民も絶賛する菊池温泉を堪能しきれずに後ろ髪ひかれながらも(ゆっくりはできませんでしたが、本当にいいお湯でした!)朝から宇城方面へ向かいます。

たから農園さん

たから農園さんと生姜畑

こちらも2年ぶりの再会になりました!たから農園の高田和加奈さん。
臨月のおなかにいる赤ちゃんと一緒に出迎えてくれました。

前回の訪問時には、お住まいの近くの生姜畑と田んぼを案内していただきましたが、今回は少し離れた山あいにある畑に連れていってくださいました。

近年の夏の酷暑と日照りは人にとってだけではなくお野菜にとっても本当に厳しい状況です。
熱帯生まれの高温多湿を好む生姜といえども、最近の高温と乾燥、または豪雨という環境には耐えられず、日差しが当たりすぎる平地の畑での栽培が難しいようです。そこで、日中は山陰になる場所に畑を借りて栽培を始めたとのことでした。

とはいえ、酷暑と水不足で苦労が多かったようですが、こちらの畑の生姜はなんとか無事に育ってくれていました。

行ってみると、周囲を山や竹林に囲まれた独立した環境に畑があり、とても静かで、心地よい空気が流れていました。

ここでは生姜の他にも空芯菜(画像 上)や大浦太ごぼう、紫蘇やエゴマ、唐辛子(画像 下)などなど、お野菜が多品目で植えられています。

様々なお野菜と自然の草が共存した畑は、周囲の山や林の一部のようで、とても気持ち良い空間した。

和加奈さんが、生姜を掘ってくれました!
2年前にきたときは、生姜がほとんど収穫できない年だったので、生姜を収穫するところを実際に見るのはこれが初めてです。嬉しいなー。ありがとう、和加奈さん♡

新生姜が出てきた!

そして、手でもっている部分が親(ひね)生姜。
親生姜は種として植えたもの、新生姜はそこから生えてきた新しい部分のこと。これで、よく分かりました!

そして、カットして・・

いつもお届けしている生姜の姿に!

掘り立ては白くて、つやつや、すべすべでとても綺麗です。
時間とともに表面は褐変していきますが、中はジューシーで甘い香りのたから農園さんの生姜。
初めて頂いたとき、その香り高さと深みある、まろやかな辛味にびっくりしました。

あぁ、生姜って、実はこういうものだったんだなぁ・・・と。

お野菜でも果物でもワインでも食品でも、そのものの本来の姿が感じられるものが私は好きです。
そういうものを食べると、身体の奥から力が湧いてくるのを感じます。姿形だけ整えられた食べ物(飲み物)からは、そういうものが感じられないのです。残念ですが・・。

それが、私にとっての「美味しい」ということで、そういったものを紹介していきたいと思っています。

生姜は農薬も肥料も多く使われる野菜の一つだそうですが、たから農園さんでは、農薬に頼らず、また肥料も与えない自然栽培をしています。
生姜の芽はどこからでるのかわからないので機械での除草はできず、手で草取りをして、土寄せをしながらの栽培をしているそうです。
生姜は乾燥を嫌うので、慣行栽培では井戸を掘って灌漑をするそうですが、環境への影響を考えてそれもしないとのこと。

できる限り自然に近い状態で逞しく育てているからこそ、こんなに生命力を感じる香り高い生姜になるんですね!

玉名牧場さんでも話に出てきましたが「井戸を掘る、その井戸から水を汲み、たくさん水をやる、農薬&化学肥料(または未熟な畜産堆肥 / 畜産においても抗生物質やGMO問題組み替え飼料など問題たくさん、の堆肥)が地中に染み込む、地下水を汚染する、井戸から水を汲み・・・(以降、繰り返し)」

熊本は地下水が綺麗で豊かなことで有名な場所ですが、それでももう何年も前から、この問題は持ち上がっているそうです。

熊本は高知に次ぐ生姜の産地で、近隣にも生姜の畑がたくさんありました。
写真は撮れなかった(撮らなかった)けど、たから農園さんの生姜畑とは違って、慣行栽培の畑はどこもワサワサとあふれんばかりに生姜がたくさん育っていました。

これまで私が買っていた生姜と、たから農園さんの生姜の味の違い。

慣行栽培そのものを否定しているわけではありません。
ただ、自分の目の前にある食べ物の、その後ろにあるものについて、みんなが少しでも想いを巡らせることができれば、それを取り巻く世界を少しずつでも変えていけるんじゃないかと思います。

“手間ひま”という愛情を、たくさん注いで育てられた、たから農園さんの香り高い生姜。今季の販売をスタートしております。

是非是非、ご賞味ください!ご購入はこちらからどうぞ→  Click!!

敬農吉さん

宇城のたから農園さんとお別れして、人吉へ!

実は、今回の旅の最大の目的は、この亀の尾が実る姿をみることでした。(上の画像です。)

亀の尾は日本のブランド米のルーツになっているお米ですが、栽培する人が激減して今では“幻の米”と言われています。
それを農薬も肥料も使わず自然栽培しているのが敬農吉の西弘敬(にしひろとし)さんです。

なちゅらぶ農園の植田和久(うえだかずひさ)さんと、西さんと初めてお会いしました。お二人ともオーガニック野菜の生産者グループ「球磨川のほとり」のメンバーでもいらっしゃいます。

電話やSNS上では頻繁にやりとりしているけど、会ったことないって最初は変な感じしますよね(笑)。
そんな、緊張した雰囲気のなか、お昼ご飯をご一緒するところからスタートしました(笑)。

お店は相良藩 田さん。立派な古民家が素敵です。

地元球磨川で獲れた、正真正銘の天然鰻が素朴で美味しかったー!
養殖したあの妙なぷにぷにの食感じゃなくて、ほろり・・と口でほどけるような食感で、香りが違いますね。鰻って川魚なんだなーーーって実感しました。

写真は緊張も手伝って、全く撮れませんでした(笑)。

その後は、青井阿蘇神社さんを訪れました。

相良藩(人吉藩)20代当主、相良長毎(ながつね)さんによって、1609年から約18年かかって建てられたこの神社は、国宝指定されています。

改修はされていますが、400年前の姿を今に留めているとのことで、とても見応えがありました。

茅葺の屋根が立派!

西さんのご紹介で、住吉則昭(すみよしのりあき)さん、通称「線香屋の定吉さん」に案内していただきました。本当にそっくり!
あまりにもお話が面白くて、こちらでもやっぱり写真は撮り忘れ・・・(笑)。

観光や娯楽の要素があまりない今回の旅のなか、とても良い時間になりました。
お忙しいのに時間を割いていただいた定吉さんに感謝しております。
ありがとうございました!


そして、いよいよ亀の尾の田んぼへ。手前が敬農吉の西さん。
道の右側、奥にみえる雑木林があるあたりまで田んぼです。
4年前は、耕作放棄されたこの場所は、あたり一面が奥の雑木林だったとか・・・。それをトラクターで整備して田んぼにしたそうです!

台風でなぎ倒されてますが、立派な稲穂!

亀の尾はドラマにもなった漫画「夏子の酒」で登場する「幻の米」のモデルになったお米です。(物語のなかではお米の名前は「龍錦」でした。)

明治30年(1897年)に山形県庄内で、在来種が自然の突然変異で生まれた品種で、漫画「夏子の酒」で酒米として紹介されたこともあって食用ではないと思われていますが、もともとは食味が非常に良いことから「日本3大優良品種」とされたお米です。
コシヒカリやササニシキ、あきたこまちといった今のブランド米のほとんどのルーツになっています。
味と米質が良いので当時、盛んに栽培されていましたが、大正7年以降に無機質肥料(石炭窒素や硫黄など)の導入が推奨され「多肥料栽培時代」になると、亀の尾の特徴である長稈(稲の背丈が高いこと)は耐肥性に劣るため倒れやすく栽培されなくなりました。
そして、品種改良によって出来た育てやすい米に押され、市場から姿を消すことになります。
それからは一部の農家さんによって、細々と栽培されてきました。

在来種に興味があった西さんは、鹿児島で参加した「種の交換会」で亀の尾の種籾に偶然出会い、それから無農薬・無施肥で自然栽培しています。

ルーツを考えると、肥料を与えない自然栽培に向く品種ではありそうですが、背丈が高いので倒れやすく栽培が難しいそうです。

西さんが育てているもうひとつのお米「にこまる」と稲の背丈の比較をしてみると

亀の尾

にこまる

にこまるは平成8年に「きぬむすめ」と「北陸174号」の交配種として誕生しました。
九州のブランド米である「ヒノヒカリ」が気温の温暖化や台風の被害のために高品質を保てなくなる可能性が高まり開発された新しいお米です。

もちもち食感の今風のお米と、サクサクした粘りの少ない食感の古くからの日本のお米を同時に栽培しているのも、敬農吉さんの面白いところです。

さて・・・これなんでしょう?

答えはジャンボタニシです。

昭和50年頃に食用として日本に輸入された「ジャンボタニシ(正しくはスクミリンゴガイで日本に昔からいるタニシとは別種)」は、味が良くないことから採算が取れず、養殖場が中止、放棄されたために西日本で野生化し、広く生息することになりました。
ジャンボタニシは雑食で繁殖力旺盛です。柔らかい葉っぱを好んで食べるので、浮き草、アゼナ、せりなどの若い葉っぱを食べますが、それらがなくなると稲の柔らかい部分やレンコンの浮き葉を食べるので田んぼやレンコン畑での被害が深刻化しています。
そのジャンボタニシが西さんの田んぼにもたくさん生息していて、うかうかしていると田植えしたばかりの柔らかい稲を全部食べられてしまいます。

稲が生えていない部分は、苗をジャンボタニシが食べちゃったところ。

西さんは、水の高さを3cmくらいに調整して稲の柔らかい部分が水から出た状態に保っておくことで、水面からは出られないジャンボタニシに食べられないようにしています。

こうすることで、今度は、食べられる場所にある雑草をジャンボタニシが食べてくれる効果があります。

「有害動物と言われているけど、それは人間側の都合。時間と手間、知恵を使えば共存できるんですよ。」

そうですよね・・・ただ疎まれるだけじゃ、連れてこられたジャンボタニシもかわいそうだ。

実際に、ジャンボタニシがいる田んぼといない田んぼを比較してみると・・

いない田んぼ。稲と草の区別がつかない(笑)。

こちらはいる田んぼ。すっきり!

ジャンボタニシのたまごです。綺麗なピンク?それともグロテスク?
これも、捉え方によって見え方も変わるでしょうね。

次はにこまるの畑へ。

稲穂が小ぶりです!

収穫は訪れた翌週くらいから、ということでした。
収穫した後は、はざ掛けしてじっくりと天日干し。これもまた、とても労力がかかる作業です。

だけど、時間をかけて天日で乾燥させてお米は、やはりとても美味しいのです!

知ってはいたことですが、農薬や化学肥料に頼らない自然栽培は私たち消費者から見ればとても嬉しいことですが、現場では相当な労力と気力が必要だと、西さんの話を伺っていて実感しました。

そんな西さんの自然栽培米の新米が今年も届きます!
今日から販売をスタートしましたので、みなさんも是非ご賞味くださいね。

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